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日本経済新聞(夕刊)連載「弁護士余録」第8回「迅速な知的財産訴訟、国際競争力を高める」
飯田 秀郷/著

「知財立国」を目指すという政策が採られる中、知的財産訴訟も迅速化が欠かせない。迅速な裁判で知的財産を保護できなければ、何の意味もないからだ。ここ数年来、裁判所が精力的に審理の改善や工夫をこらし、関係する代理人弁護士もこれに対応する努力を積み上げ、現在では平均して一年内に解決するようになった。
 これには、知的財産訴訟に習熟した裁判官を東京と大阪に重点配置し、集中的に処理するシステムができあがったことも大きく寄与している。
 日本の知的財産訴訟が迅速、かつ信頼に足るものだとの認識が広がり、日本の裁判所で知的財産権侵害の認定を他の国に先駆けて得ることにより、他の国におけるライセンスを有利に展開するなど、世界的な知財戦略に利用しようとする動きも出てきた。日本の司法の国際競争力が強くなっているのだ。
 先日、一九九六年に提訴された特許権侵害訴訟が、丸七年間の審理を経て終了した。この裁判は、ある地方の裁判所にA社が訴えられ、特許権を侵害する行為を止めること、損害を賠償することを求められていた。これに対し、A社は特許権を侵害していないと争い続けてきた。
 今年初め、その地方裁判所が事件の審理を東京地裁に任せることとした。その後、数カ月の審理を経て、特許権侵害はないとの結論が出された。この事件も、東京地裁の集中的審理システムに乗せることで、こう着状態から脱出することができたのだ。A社は丸七年間の苦難を乗り越え、ビジネスに専念できることになり、代理人としてほっとすると共に、迅速な訴訟の必要性を痛感した。

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